退職代行トラブルに遭遇しないために
ここ2、3年で世の中に急増してきた退職代行サービスですが、その背景には皆さんが務める会社側にも問題があります。
セクハラやモラハラ、パワハラやいじめなどモラルに関する問題を抱えた会社が増えたため、「もう会社に行きたくない」と感じる社会人が増えてしまいました。
退職代行サービスが流行ったのは需要があったからだと言えます。
その陰でトラブルに見舞われたと言う情報もちらほら出てくる様になりました。
今回は、退職代行サービスに依頼をする時にどの様なトラブルを想定しておくべきか。
実際に起きた事例なども踏まえてまとめてみたいと思います。
結局退職出来なかったパターン
まず考えられるトラブルは、結果的に会社を辞める事が出来なかったと言うものです。
もしこの様な状態になってしまうと、より心苦しい状態で勤務する事になってしまいます。
しかし、現在までの情報では、辞められなかったケースは殆どありません。
一応、どの会社でも業者から連絡があった時点で従業員の退職には応じています。
ただ、会社の文化は千差万別。中には超ブラックな企業もあるでしょうし、依頼主様の度胸や心持にも関わってきます。
頑として首を縦に振らない会社で、なおかつ圧力がすごかったら最終的に退職代行サービスに依頼した方も折れてしまう事は想定されます。
全額返金保証が付いている退職代行サービスも多いですから、最初に入金したお金は手元に戻って来る可能性が高いです。
それまでの生活に戻るだけと言えば聞こえはいいですが、そもそも会社がいやでいやで仕方がないから退職代行に依頼してるはずです。
それなのに辞められなかったとなると、非常にしんどいですよね。
万が一このレベルのブラック企業に勤続しているのなら、どのみち早めに退職する方が良さそうです。
何度辞めると言っても聞き入れてくれない。
その上で退職代行サービスにお願いしたのにまだ辞められないとなれば、八方塞がりですよね。
気合を入れて再度退職の意思を自ら伝える様にする。
今一度会社としっかり話し合う等、行動を起こす必要がありますね。
ブラック企業からは何としてでも抜け出しましょう。
ここがポイント
退職したくて仕方ないから退職代行に頼んだのに、結果的に辞めれなかったとなると一番のトラブルになります。今のところは数多く報告はされていませんが、無いわけでもありません。
退職ではなく解雇扱いにされる事もある?
退職代行サービスを使うと、勤め先も構えてしまったりそれ自体を不満に思う所もあるでしょう。
その結果、アナタが会社を辞めるにあたって退職ではなく解雇扱いにする場合もあるかもしれません。
基本的に退職と言うものは従業員の都合によって会社を辞めた事になります。
それに対して解雇となると、これは会社側の都合によって辞めさせたと言う事になり、転職活動に不利に働くケースがあります。
会社が倒産した際なども会社都合で辞めた事になりますが、履歴書に書いたことによって面接官からの心象は「この人問題児なのかな??」と思われてしまいます。
つまり、第一印象が悪くなってしまうんですね。
それによってなかなか転職活動が上手く行かないなんて事も考えられます。
多くの会社では、退職者と揉める事は得策ではないと考え、両者に何もメリットがない点で解雇扱いにはしませんが、可能性はゼロではありません。
最悪の場合こう言ったケースも起きうると覚えておきましょう。
ここがポイント
会社都合で退職させられてしまうと、履歴書にも記載する必要が出てきます。
その結果、次の転職時に心象が悪くなる事になってしまいます。
会社から損害賠償を請求されたどうしよう
意外に多くの方がこの心配を抱えています。
結論から言うと、ほぼ請求される事はありません。
ほぼとつけたのは100%ではないからですが、特にここ最近では退職代行に依頼した後に損害賠償を請求されたと言うニュースは入ってきていません。
この点から、損害賠償を請求されると言う心配は杞憂と言えるでしょう。
杞憂の語源は、昔中国の「杞」と言う国に「天が落ちてくるんではないか」と心配した男性がいた事に由来しています。
天が落ちるなんて事はありえません。
つまり、余計な心配事は無駄と言う意味のことわざです。
話を戻しますが、一般的な業務に従事している方には、会社側から損害賠償を請求される事はまずありえないと覚えておきましょう。
中には特殊業務やその人しか持ちえない技能を活用した仕事も存在します。
明らかにそう言った替えの効かない人間がいきなり会社を辞めたとなると、場合によっては会社側から請求される事もあり得るかもしれません。
これを回避する方法は、なるべく退職の前に人間関係を良好に保っておく事です。
同僚や上司、身近な人達と明るいコミュニケーションをとり(本音は取りたくなくても)、アナタが退職しても怒りのボルテージがそこまで高くならない様に仕向けておく事も大事です。
従業員の退職に損害賠償を請求する事は可能か?
法律的な側面から調べてみました。
一般的に、意図的な個人情報の流出などで会社に損害が発生した場合、会社側は従業員に対して損害賠償を請求する事は可能です。
労働基準法では16条。
民法で該当するのは415条や416条、709条に記述があります。
しかし、今話している事は退職に関する損害賠償です。
こうなると少し話は変わって来て、「労働者の責任制限の法理」に関わってきます。
これは、元々会社側の責任、指示が甘かったために生じた損害であるからそのすべての責任を従業員に追わせることはできませんよと言う意味合いになります。
事業の規模や内容によっても変わってきますが、極端に言うと会社がしっかりしていればこの従業員は退職する事もなかったはずと言うのが一般的に考え得られる事象です。
会社の利益を追求させることが当然になっていて、仮に損害をこうむるとなったらその責任は全て従業員のせいと言うのは筋が通って居ませんよね。
アナタが突然会社を辞めて、その結果クライアントとの商談に問題が生じたり、他の従業員に負担が行った分をアナタに請求すると言う事は、証明をするのが非常に難しい問題です。
この事から、会社側のスタンスとしても一従業員の退職に伴ってその人に損が賠償を請求すると言う行為そのものが、違法となりうる可能性が高いです。
ここがポイント
基本的に会社から損害賠償を請求されるケースは殆どありません。ただ、従事していた業務や業種によってはあり得ます。
基本的に損害賠償を請求する事は会社にとってもメリットがありません。
会社が今後必要になる書類を送ってくれなかったらどうするか
良識のある会社なら、従業員の退職後に速やかに書類の送付を行ってくれます。
ここでいう今後必要になる書類とは、
- 年金手帳
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 健康保険資格喪失証明書
- 離職票
となります。
この書類には、請求をしないともらえないものや、逆に退職に伴って会社が郵送しないといけない物もあります。
年金手帳
会社にもよりますが、入社時に渡しそのまま会社が保管してくれるケースがあります。
もちろん次の職場でも必要になりますから、現在どこにあるのかきちんと調べておく必要があります。
もし手元にない場合は、まだ勤め先が保管している事も考えられますので、しっかり郵送してもらえるようにしましょう。
もし退職代行サービスを利用したことで、会社側が意図的に送ってくれない場合は、最悪の場合再発行も可能です。
雇用保険被保険者証
こちらも紛失した際には再発行が可能ですが、基本的に就業中は会社が保管し、退職時に返還される事が一般的です。
雇用保険に加入したと言う証明になるもので、次の職場でも必要になる重要な書類です。
年金手帳と同じく今手元にない場合は、改めて会社側に請求をする必要が出てきます。
源泉徴収票
こちらは勤めていた直近1年の、退職時までの社会保険に支払った記録や、収入額が記載されている書類になります。
会社を辞めた後に、送られてくることが通例となって居ます。
源泉徴収票も次の職場に提出する必要があり、まだ転職が進んでいない方でも手元に残しておく必要があります。
健康保険資格喪失証明書
勤め先の健康保険組合などから脱退した事を証明する書類となります。
基本的に会社を辞める際には健康保険証は返却してしまうので、その直後通院するとなると保険が効かなくなってしまいます。
基本的に会社に請求をしないともらえない物ですので、今後国民健康保険に加入する予定の人などには必ず必要な書類になります。
離職票
又の名を雇用保険被保険者離職票とも言い、今後失業給付金を受ける際に必要な書類になります。
こちらも請求しないと発行されない物なので、自分の今後の展望を踏まえ状況に応じて請求しましょう。
これらの書類を頼んでも送ってくれないとなると、今後の生活にも支障をきたす事となってしまいます。
また、必要以上に郵送に時間をかけると言う嫌がらせをする会社も存在します。
この場合、近くのハローワークや弁護士に相談する必要が出てきてしまいます。
少し面倒な事になってしまいますが、会社側に非がある事なのでしっかり相談し何かしらのアクションを起こすようにしましょう。
ここがポイント
おおよそ退職後に必要になる書類は、年金手帳、雇用保険被保険者証、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書、離職票です。
手元に無いと次の就労時に困る場合も出てきます。
非弁行為には気を付ける事
このサイトでも何度か書いていますが、基本的に退職代行サービスはアナタが会社を辞めますと言う事を代わりに伝えてくれる事のみ受け持ってくれます。
必要書類の郵送なども話はしてくれますが、未払い残業代の交渉や有給休暇の取得交渉などは応じてくれません。
非弁行為と言って、弁護士資格がない方がこれを行うと法律に触れてしまうからです。
退職代行は非弁行為にあたるのか?
依頼する側の立場から気を付ける事は、顧問弁護士の指導の元運営しているサービスなら安心です。
もしくは弁護士事務所が退職代行を行っている所であれば問題はありません。
最初から残業代の交渉や、有給休暇の残日数を捨てる意気込みで退職したいと言うならば気にする必要はありませんが、トラブルを避けたいのであればこの点は過敏になっておきましょう。
退職代行汐留パートナーズの評判と費用は?
更に、退職代行に相談する時点で交渉事に関しての内容は細かく聞いておくと良いでしょう。
詐欺の退職代行サービスにもご注意を
退職代行サービスが世の中に広まったことによって、詐欺を働く企業も出てきました。
数こそ多くないので、まだそこまでナーバスになる必要はありませんが、想定されるトラブルとしては入金したのに動いてくれない、入金後連絡が取れなくなったと言う物です。
これを回避するには、ある程度認知度のある大手退職代行サービスに依頼する事です。
安価だとしてもあまりなじみの無い退職代行サービスは活用しない方が賢明ですね。
後は、公式HP上にちゃんと運営会社の記載があるか確認しておきましょう。
しっかりとした企業が運営しているのであれば問題はありません。
気になったら、その会社名でググってみてちゃんと信用できる企業かも見ておく方が賢明ですね。
いずれにしろ、詐欺に引っかからない様にするには情報収集を行う事です。
自分の目でしっかり調べ、ちゃんと実行してくれる退職代行サービスを選ぶようにしましょう。
退職代行にまつわるトラブルまとめ
今回は退職代行にまつわるトラブルを取りまとめました。
もう会社に行きたくないから頼んでいるのに辞めれなかったり、会社から嫌がらせを受けると言う物が主なトラブルに該当します。
今の状況を打破して次の職場にかけるために存在しているサービスなので、やはりその選定自体はしっかり行う必要がありそうです。
自分に合っていると思われる退職代行としっかり相談を重ねながら、実際の退職にこぎつける様にしましょう。